IoTデバイスのセキュリティのどこにコンシュマーの懸念はあるのか

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家電や設備機器など、いろいろなモノがネットワークにつながり、暮らしを便利に、そして楽しくさせるIoTに、想像していなかった落とし穴が見つかった。意外にもコンシュマー側が、セキュリティに懸念を持っていることが分かったのだ。

この記事は、ESETが運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト
「We Live Security」の記事を基に、日本向けの解説を加えて編集したものです。

IoTデバイスのセキュリティのどこにコンシュマーの懸念はあるのか

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を用いたデバイスやサービスを利用することについてコンシュマーは、情報セキュリティやプライバシーの漏えいについて懸念があるために慎重な態度をとっている、というのが、国際的な総合コンサルティング企業であるアクセンチュア社の最近の調査報告によって明らかになった。

アクセンチュア社のレポート「コンシュマー技術の成長に火をつける」によれば、そのような懸念は、「(導入の)最初の障壁に常にまとわりつく悩ましい問題」に由来している、とのことだ。

アンケート調査のほぼ半数の47%に及ぶ回答者は「プライバシー面でのリスクやセキュリティへの不安」がIoT技術の採用の障壁となっている、と回答していることに、アクセンチュア社の調査員は注目している。

アンケート調査のほぼ半数の47%に及ぶ回答者は「プライバシー面でのリスクやセキュリティへの不安」がIoT技術の採用の障壁となっている、と回答していることに、アクセンチュア社の調査員は注目している。

同社の説明によれば、データ漏えいの危険性について、より自覚的であることもコンシュマーの行動に影響を与えており、「セキュリティの保証が得られる」までは事情に詳しいコンシュマーは購買を控えているということだ。

さらには、すでに何らかのIoT商品やサービスに投資したIT通のコンシュマーたちも、この技術ができ得る限りセキュリティの高いものであると彼らが感じられなければ、現行のサービスを解約しかねない、という。

興味深い点は、このレポートの指摘によれば、多くのコンシュマーがIoT機器やサービスの価値を評価する一方、実際に感じているリスクの方が得られるであろう利益を凌駕してしまっていることである。

「IoTには喧伝するさまざまな利便性があるにもかかわらず、IoTの市場はそれ自体が両刃の剣であるということを露呈している」とアクセンチュア社電機・ハイテク部門ディレクターのサーミ・ルーッコネン氏は言う。

「市場機会は膨大なものだ。だが、セキュリティと使いやすさについての不安があって、それが現在のポテンシャルにとどまらず遠い将来の成長のポテンシャルをも阻害している」

「コンシュマー技術を扱う会社はもっと革新的なサービスに投資し、コンシュマーのオンライン上での活動をより安全で、便利で、豊かなものとする必要がある」

IoTに対してコンシュマーが懸念すること

IoTに対してコンシュマーが懸念すること

コンシュマーにIoTデバイス購買をためらわせている最大の障害は依然として価格であり、そういったデバイスは今のところ高価すぎると62%の回答者が答えている。

それに次いで、セキュリティ面での心配(47%)、何を買っていいのか分からないこと(23%)、そしてIoTデバイスがどういったものであるかということについて考えが混乱してしまっていること(17%)、といった点が挙げられている。

世間では華々しく語られているIoTであるが、実情は思っている以上に懸念材料が多い。少なくともコンシュマー側はさまざまなリスクをそこに見ており、IoT業者はどこまでこういった懸念を緩和できるのか、問われていると言えるだろう。

とりわけセキュリティ面においては、直接ユーザー(人間)が操作(通信)を行わない分、ソーシャルエンジニアリングやフィッシングといった手法に対してはあまり注意を向ける必要がないとはいえ、逆にユーザーの知らないところで機器が攻撃者側に操作されてしまうという事態が懸念される。しかもIoTによって通信トラフィックは劇的に増加するため、どこまで怪しい挙動を監視できるのか、チェック体制にも不安が残る。

いずれにせよ、IoTについては華やかな側面だけではなく、運用上の基本部分、とりわけセキュリティについての十分な対応が求められることは疑いない。今後も引き続き動向に注目したい。

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