ときわ情報株式会社

受託系のシステム開発会社、ときわ情報では、9製品のウイルス対策製品をリストアップし、うち4製品につき動作の軽さを自分で実際に調査した。SI事業部の堀哲郎氏に聞いた。
-- ときわ情報がウイルス対策製品を選ぶときに最も重要視した点は何ですか。
「われわれの仕事のじゃまをしないこと」です。
弊社はソフトウェア開発の会社で、社員の大半はソフトウェア技術者です。ウイルス対策製品の動作が重いと、プログラム開発のさまたげになります。特に最近は、JAVA開発の案件が増えています。JAVA開発は、メモリを大量消費するので、なおさら軽い製品が必要でした。
-- ということは、今回NOD32を選んだ理由は。
軽さがその理由です。他社製品とも比較しましたが、NOD32が最も軽かったのです。
-- 製品比較にあたり何社ぐらいをリストアップしたのでしょうか。
大手、中堅、フリーウェアなど計9社をリストアップしました。
-- 通常は、大手メーカーの製品のみリストアップするお客さまが多いようです。大手の方が信用できるとは思いませんでしたか。
大手だから信用できるという考え方はしません。機能や仕様を比べて、安くて優れた製品を使うのがよいと考えています。
-- 9社をどんな基準で比べたのですか。
以下の通りです。
- 動作が軽い(開発の仕事のじゃまをしない)
- 価格が手頃
- ウイルス検出率が高い
一次選考では9社のうち5社が落選しました。落選の理由は以下のとおりです。
|
却下理由 |
A社 |
高額のため |
B社 |
高額のため |
C社 |
Free版はリアルタイム検査なし。国内代理店なしのため。 |
D社(フリーウェア) |
検出しか行わないため |
E社 |
VPNでの使用が不可のため |
まず「値段が高い製品」と「明らかに機能不足の製品」を落としたわけです。続いて残り4社について、動作の軽さと、ウイルス検出率を比べました。
-
ウイルス検出率と動作の軽さをどのようにして調べたか
-- ウイルス検出率はどのように比べたのですか。
ウイルス対策の専門誌VirusBulletin誌で一度でも100%アワードを受賞した製品は合格ということにしました。一回でも100点満点を取ったことがあるのなら、ウイルス検出は大丈夫だろうという考え方です。
-- 動作の軽さはどのように比べたのですか。カタログスペックによる比較ですか。
カタログスペックに頼らず、自分で調べました。調査方法は以下の通りです。
- 候補となった各製品の試用版を集める。
- 試用版を、開発マシンにインストールする。
- Ctrl + Alt + Delete を押してWindowsタスクマネージャを呼び出す。「プロセス」画面により、各製品の「プロセス数」と、「プロセス毎のメモリ使用量」を調べる。
-- 比較テストの結果、どうなりましたか。
以下のような結果が出ました。
製品名 |
プロセス数/メモリ数 |
価格(※) |
対応OS |
NOD32 |
|
(通常時) |
(スキャン時) |
常駐プロセス数:
|
2
|
+1
|
合計使用メモリ量: |
約13MB |
+約14MB |
|
100 |
Windows 98/98SE/Me, NT Workstation 4.0(Service Pack 6以降)、2000 Professional, XP Home Edition, XP Professional, 2000 Server, 2000 Advanced Server, Server 2003 Standard Edition |
F社 |
|
(通常時) |
(スキャン時) |
常駐プロセス数:
|
1
|
+2
|
合計使用メモリ量: |
約8MB |
+約20MB |
|
96 |
Windows XP Home Edition, XP Professional, 2000 Professional(SP1以上), NT Workstation 4.0(Service Pack 6以降),98/98SE/Me, 95(OSR2以上/Winsock2.0以上) |
G社 |
|
(通常時) |
(スキャン時) |
常駐プロセス数:
|
12
|
±0
|
合計使用メモリ量: |
約22MB |
+約10MB |
|
152 |
Windows 98/Me/NT4.0/2000/XP |
H社 |
|
(通常時) |
(スキャン時) |
常駐プロセス数:
|
4
|
+1
|
合計使用メモリ量: |
約60MB |
+約30MB |
|
150 |
Windows 98/Me/NT4.0/2000/XP |
※:NOD32を100とした場合の相対比較
注:本数値は、ときわ情報さまが検証を行ったもので、必ずしも全ての環境で同じ結果が得られるとは限りません。
-- この表を見る限り、メモリ使用量においてはF社がいちばん少なく、次いでNOD32、G社、H社の順番になっており、いちばん軽いのはF社です。なぜF社ではなくNOD32を選んだのですか。
確かに「メモリ使用量という数値」ではF社がNOD32に少し優っています。しかし「実際に使ってみての体感上の軽さ」は、NOD32の方が上でした。
-- 製品Fの方が、メモリ使用量は少ないのに、体感上は、NOD32の方が軽い…なぜ、そういうことが起きると思われますか。
あくまでも推測ですが、1):内部アルゴリズムの良し悪し、2):ウイルス定義ファイルの配信量の軽さ。この2つが要因かもしれません。
内部アルゴリズムについては、以下のような推測です。
- ウイルス対策ソフトは、1):Windowsのファイルオープン命令をフックし、2):OSを一旦停止させて、3):ウイルス検査を行った後、4):(異常がなければ)再び制御をOSに戻す、という動作を行う。
- 1~4の動作が速く済めば、「動作が軽い」ということになる。
- 1~4を速くする要因は内部のアルゴリズムである。メモリ使用量ではない。
- メモリ使用量が少ないソフトでも、アルゴリズムが稚拙であれば、1~4の動作には時間がかかる。従って、体感上の速さは遅くなる。
NOD32は、おそらくプログラムの内部アルゴリズムが優れているのだと予測されます。だから製品Fよりメモリ占有量が少し多くても、動作が速く、そして体感上、軽くなっているのではないかと。
-- ウイルス定義ファイルの配信量については。
ウイルス定義ファイルのサイズが小さければ、バックグラウンドでのダウンロード時間も短くなり、マシンの動作も軽くなると予測できます(このことも、メモリ使用量とは関係ありません)
NOD32では、ウイルス定義ファイルのサイズが、一回当たり数10KB(3ヶ月に一回は4MB)と軽量でした。他の製品は大抵一回当たり1MBぐらいあり、NOD32の10倍以上です。最も重い製品の場合、一回に12MBをダウンロードしなければならないこともあります。
-- その他、NOD32で評価できる点はありますか。
設定画面のインターフェースが分かりやすいと思います。インターフェースは人それぞれに好みがありますが、われわれのような技術者の心理としてはNOD32のような網羅性と一覧性を備えた画面を使いやすく感じます。
-- 現在、ときわ情報では、どのようなウイルス対策体制をとっているのですか。
クライアントの防御がNOD32、ゲートウエイ(メールサーバー)の防御がプロバイダ提供のウイルスチェックサービスという二段体制です。
-- プログラマは、開発作業のさまたげになるのを嫌い、ウイルス対策製品をつい外しがちだと聞きます。ときわ情報ではどうですか。
弊社では、開発者がウイルス対策ソフトを外すようなことはありません。JAVAプログラムのビルドなどマシンリソースを極度に使う場合のみ、一時的に外すこともありますが、日常的には常駐させっぱなしです。プログラマとしても、開発の仕事の邪魔にならないのなら、ウイルス対策ソフトがマシンを守ってくれた方がよいわけです。NOD32は、動作が軽いので、プログラマにとって邪魔になりません。そうであれば手間ひまかけてNOD32を外す理由はありません。
-- 今後のNOD32への期待をお聞かせください。
今までどおりの「軽さナンバーワンのウイルス対策ソフト」でありつづけてください。期待しています。
-- 今日は貴重なお話を有り難うございました。
[取材日時 2006年8月]
ときわ情報株式会社( 728KB / 2ページ )
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ときわ情報さまは、下町情緒あふれる浅草の街にあります。しかし、オフィスにお伺いすると、入り口にはICカードと顔認証による2重のセキュリティが施され、街のイメージとは全く違うのが印象的でした。システム開発を業務としている関係でお客さまの情報を扱うことが多いためセキュリティ対策は万全にされているそうです。
